時代とともに形を変えて。米沢緞通のチェアラグを知る。
当店にて、Traditional Craft Exhibition|日本の伝統工芸品を集めた展示会を行いました。
展示会で取扱させていただいたプロダクト、最後は山形県より「米沢緞通(よねざわだんつう)」をご紹介します。
これまで紹介してきた日本の伝統工芸品も、まだご覧になっていない方はぜひこの機会に!
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中近東をルーツに持ち、日本でも愛された優美な趣
緞通(だんつう)とは、手織りの重厚なじゅうたんのこと。
特に小ぶりで、方形のものを指します。
約3000年前ほど前、中近東で放牧民族が敷物や寝具として作ったものが発祥と考えられ、やがて中国へ伝わり、元禄時代、肥前国(佐賀県全域)にて日本へ技術を取り入れられたことが、最も古い日本の緞通のはじまりとされています。
当時の佐賀藩主は、緞通の綿密で上品な美しさに惚れこみ生産を奨励。
大名や幕府への贈りものとして用いられました。
一般への販売は禁じられていたというほど、高価な品として扱われていた緞通。
明治維新以降にはその禁を解かれ、技術は日本全国へ伝承され、山形県にも根ざしていきました。
独自開発の小さな織機ときめ細やかな手仕事
山形県の米沢緞通は、1966年より手織りのじゅうたん業を営み、手織りじゅうたんの技術を継承する数少ない織元のひとつ。
もともとは、織機の組み立てやメンテナンスを生業としていた工房が、独自に手織機を考案し緞通を制作。
高度経済成長期には、首相官邸や日生劇場、大手企業本社など、名だたる建物のじゅうたんを手がけました。
昨今、大きなじゅうたんの需要が減少したとはいえ、現在も受け継がれるその小さな織機を用いて、今の暮らしへ寄り添うようなコンパクトな敷物を作り続けるほどに、手織りじゅうたんへの愛が深い工房なのです。
高級じゅうたんを手がけたほどその高い品質は、図案から織り、仕上げ、洗いまで全て手仕事で一貫して行われます。
原料の糸は、おもに天然の羊毛。
羊毛からなる綿の糸を縦にそろえ、一段ごとに手で筬(おさ)を下ろし横糸を押し詰めます。織り目を整えるこの手作業によって糸の密度がきめ細やかに凝縮され、天然の羊毛そのままの温かみあるラグが生まれます。
座る佇まいを美しくする、チェアラグという選択
期間限定で取り扱いさせていただく緞通は、手織りのため、さまざまな色や模様を表現することが可能になります。
縦糸にウールのパイル糸、横糸とからみ糸で形成される組織構成は、毛糸の密度の高さと、腰の強さが何よりもの特徴です。
じゅうたんの裏面を見てみると、表の図案がそのまま見える。
密度が高い緞通の証と言えます。
手に触れると感じる、緞通のしっとりした厚みと毛糸のふくよかさ。
肌が包み込まれるような感覚を覚える緞通は、木のチェアやスツールに敷いて、クッションの役割を担ってくれるんです。
手織りの上質さ。色鮮やかな緞通は、敷物として空間に彩りを飾り、ひとたび腰をかけると、人の姿勢を凛とさせ、佇まいをしなやかに美しくしてくれるものです。
ものづくりの背景を知ることができたからこそ、そのものをもっと大切にできるような気がします。
一生ものとして、長く愛用いただけましたら幸いです。
Traditional Craft Exhibition
会期
2022年7月23日(土) - 7月31日(日)
営業時間
平 日:11時 - 18時
土日祝:10時 - 18時
場所
STAYFUL LIFE STORE
東京都三鷹市下連雀1-16-1(井の頭公園前 / ジブリ美術館すぐ近く)
会期は今週日曜日まで。
ものづくりの歴史や背景に想いを馳せながら、暮らしをともにする日用品をぜひ選びにいらしてください。
みなさまのご来店をお待ちしております。